「不調の原因が老化だと言われた。」
「老化とは言っても皆が同じ症状じゃない!」
「結局、老化って何?」
加齢によって内臓は弱ります。
内臓の中でも加齢によって弱るのは肝臓と腎臓です。
今回、解説するのは肝臓と腎臓の弱りを現す肝腎陰虚です
肝腎陰虚とは
肝腎陰虚とは、肝陰虚と腎陰虚が同時に起こることで体内に熱がこもった状態です。
肝陰虚の特徴である目のかすみや眩暈(めまい)に加えて、腎陰虚の特徴である耳鳴りや腰下肢の脱力感が現れます。
東洋医学では肝と腎は特に深い関係があると考えています。
肝と腎は主要な臓器であり、肝が貯蔵している血(栄養)が充実すると腎に貯蔵する腎精も充実します。
精と血は互いを生み出す材料であり、現代で言うところのホルモンとタンパク質のような関係です。
ホルモンの影響
ホルモンの分泌によりたんぱく質の合成が促され、たんぱく質の摂取によりホルモンの分泌が促されます。
例えば腎臓から分泌されるエリスロポエチンというホルモンは、赤血球の産生を促し血液を充実させ肝臓を潤します。
また、肝臓は骨髄(こつずい)が赤血球を作るために必要な葉酸(ようさん)やビタミンB12を貯えています。
そのため腎精が不足する腎陰虚は肝陰虚の原因となり、肝血の不足は腎陰虚の原因となります。
そうやって肝腎陰虚になると、
- 自律神経失調症
- 高血圧
- 更年期障害
などが現れやすくなります。
腎臓の上にある副腎ではコルチゾールを作っており、コルチゾールは肝臓での糖新生を促します。
またコルチゾールは体内の塩分を保持して血圧を維持し、血糖を上昇させる働きで肝血を充実させます。
また、腎臓から分泌されるアドレナリンは肝臓での、
- グリコーゲン分解
- 糖新生
- 脂肪分解
などを促し肝陰を充実させます。
中高年になると内臓肥満に伴い高血圧が現れ、最大血圧が高くなり肝機能の低下が顕著になります。
肝機能の低下は肝硬変を招き、肝硬変になると最高血圧は下がります。
ですが最高血圧が100以下に下がった場合は肝硬変の疑いがあるので、医療機関の受診が大切です。
また肝臓に蓄えられるビタミンDは、肝臓と腎臓で処理されることで活性型ビタミンDとなり小腸でのカルシウムとリンの吸収を促します。
肝腎陰虚を解消するには
陰虚の解消は、食事で津液を補うと同時に熱を発散させることが大切です。
津液を補うには貝類や卵がおすすめで、特にムール貝は肝腎の両方に効果があります。
また熱を発散させる食材は夏が旬のものが多くトマトやゴーヤ、緑茶などが代表的です。
基本的には身体に水分を補給して熱を発散させることで肝臓は潤います。
腎陰虚には薬膳から見た清熱補陰の効能がある食材を選びます。
清熱補陰とは炎症を鎮めて身体を潤す作用があり、清熱補陰をもつ食材には苺やアワビ、牡蠣などがあり生薬には地黄があります。
さらに炎症の成分は尿となって排泄されるので、排尿を促す利水の食材も大切です。
苺は清熱利水の食材でもあり、他には小豆や胡瓜、昆布、スイカ、白菜、緑茶なども清熱利水の効能があるので炎症を鎮めるのに役立ちます。
漢方薬では腎虚には地黄を使ったものが用いられ、地黄が含まれる八味地黄丸は腎虚を解消する代表的な漢方薬です。
また補陰補腎の効能を持つ山芋や烏骨鶏なら、身体を潤して腎の機能を高めるので腎陰虚の解消には効果的です。
昔から山芋は不老の食材と言われおり、老化の原因となる腎虚を解消する食材として重宝されてきました。
肝陰虚の解消には、補陰に加えて養肝の食材を選びましょう。
養肝の食材には鰯やブドウ、プルーンなどがあり補腎の効果もあります。
まとめ
肝と腎は若さを保つのに重要な臓器です。
そんな肝と腎はお互いに助け合うので、片方が弱れば両方が弱ってしまいます。
そのため元気にする時には両方を同時に助けましょう。