最近になって疲れがとれなくなった。
意欲が出ずに気分が落ち込みやすい。
病院では自律神経失調症だと言われた。
副腎疲労とは、まだまだ認知度の低い疾患の一つです。
不定愁訴が多いせいで自律神経失調症やうつ症状と間違えられやすいのも特徴です。
今回は、そんな副腎疲労を東洋医学の面から解説します。
副腎疲労とは
副腎とは腎臓の上にある臓器ですが、腎臓の一部ではなく独立した臓器です。
重さは約5gほどの小さい臓器ですが、
- 交感神経を刺激するホルモン
- 抗ストレスホルモン
- 性ホルモン
- 尿の再吸収を促すホルモン
などの様々なホルモンを分泌しています。
交感神経を刺激するのはアドレナリンやドーパミンなどで、抗ストレスホルモンとは血糖値を上げるコルチゾールです。
副腎疲労とはアドレナリンやコルチゾールなどの分泌が減少した状態なのです。
ホルモンの働き
人間は精神だけでなく肉体にもストレスを感じると、すぐに対応できるようにコルチゾールを分泌して血糖値を高めます。
ですが、普段からストレスが多くコルチゾールの分泌過剰だと徐々にコルチゾールの分泌が間に合わなくなります。
過度な労働や対人関係でのストレス、偏った食生活などは副腎にとって大きな負担となります。
若くて元気なうちはコルチゾールが不足することはありませんが、年齢とともに副腎の機能が低下してくるとコルチゾールが不足します。
このコルチゾールが不足した状態が続くと、
- 朝起きるのが辛い
- 朝から疲れている
- 甘いものやしょっぱいものが欲しくなる
- 気持ちが落ち込みやすい
- コーヒーやエナジードリンクなどカフェインが欲しくなる
- 集中力が続かない
などの症状が現れます。
これらは副腎から分泌されるホルモンが不足したために起こるのです。
副腎に限らずですが、内臓から分泌されるホルモンは一つが不足すると他のホルモンも不足します。
副腎の場合だとコルチゾールの不足がきっかけとなって他のホルモンも不足するのです。
コルチゾールはストレスに対抗して分泌されるのに加えて、覚醒を促すホルモンでもあります。
そのため起きるときにコルチゾールが不足すると朝に起きづらくなります。
加えてコルチゾールは血糖値を高める作用があるので、不足すれば低血糖になり甘いものが過剰に欲しくなるのです。
そして副腎の機能低下はアドレナリンなどの身体を興奮させるホルモンの不足を招くので、ずっとやる気が出ずに集中力が続かない状態に陥ります。
甘いものやしょっぱいもの、カフェインなどが欲しくなるのは不足したホルモンの作用を補うために身体が欲している成分なのです。
だから副腎疲労の解消には、副腎から分泌されるホルモンを正常に戻すことが必要なのです。
東洋医学からみた副腎疲労の解消法
副腎の機能低下の背景には、ストレスに対する過剰なコルチゾールの分泌があります。
東洋医学では、ストレスが過剰な状態は気滞(きたい)と呼んでいます。
気滞の状態になるとイライラしたり寝つきが悪くなったりします。
この状態が長く続くと、副腎の機能低下が始まります。
そのため、まずは気滞の時点で身体の調子を整えることが大切です。
気滞の状態はコルチゾールの作用により血糖値が上がっているので、身体を動かして汗をかくと落ち着きます。
副腎疲労になる人は睡眠の質が低下しているので、運動をして睡眠の質を高めることが重要です。
また、サウナなどでも良いので汗をかくことで副交感神経が高まって身体が落ち着いて眠りやすくなります。
気滞は副腎疲労の入り口なので、気滞の時点で対処できていないと副腎疲労は悪化します。
ストレスを抑制するもう一つのホルモンがノルアドレナリンです。
ノルアドレナリンが分泌されると覚醒作用を示し、心拍数や血圧を上げるだけでなくやる気や集中力も高めます。
さらに長期的な記憶力を高めてストレス耐性を強めるのもノルアドレナリンの作用です。
ですが、ノルアドレナリンは過剰に分泌されるとイライラしやすくなるため怒りのホルモンとも呼ばれています。
そのため、ストレスを感じた時でもコルチゾールとノルアドレナリンは適度に分泌されることが望ましいのです。
ここで重要となるのが、身体の興奮を鎮めることでストレスに対処してくれるオキシトシンです。
オキシトシンは幸せホルモンとも呼ばれ、美しい景色を眺めたり好きな音楽を聴いたりと五感を刺激することで分泌が促進されます。
もともとは妊娠や出産を機に分泌が増えるホルモンとして知られていましたが、五感の中でも触感を刺激することで多く分泌されることが分かってきました。
また、普段から周囲に感謝の思いや言葉をかけるだけでもオキシトシンが分泌されること分かっています。
まとめ
人間は多少の疲労やストレスには対応できるようになっています。
ですが過度な疲労やストレスは副腎を疲労させ、疲労が溜まると副腎疲労を起こします。
そんな時こそ生活習慣を見直したりオキシトシンの分泌を促して心身のバランスを整えることが大切です。