身体が老化したと感じる。
でも何が変わっているのだろう?
実は老化は内臓から始まります。
腎臓は加齢によって委縮が始まり、血流量が減少することで起こる老化の一種です。
腎臓は健康を維持するうえで重要な臓器なので、委縮が始まると様々な問題が起こります。
今回は、そんな腎臓について解説します。
腎臓とホルモン
腎臓は加齢によって血流量が低下すると委縮が始まり、血流量の低下は腎臓から分泌されるホルモンが減少します。
腎臓で作られるホルモンは、
- エリスロポエチン
- 活性型ビタミンD
- レニン
などがあります。
エリスロポエチンは赤血球の産生を亢進させ、赤血球を作る際に必要な葉酸やビタミン12は肝臓に蓄えられています。
また、古くなった赤血球は脾臓で破壊されたのちに、肝臓で胆汁の原料として再利用されます。
活性型ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収に関与するので、腎臓の機能が低下するとカルシウムとリンの吸収がうまくいかなくなります。
レニンは血圧を調節するホルモンで、血圧上昇作用を持つアンジオテンシンIIという物質を作ります。
腎臓への血流が低下すると、腎臓は血流量を増やそうとレニンの産生が亢進し高血圧の原因となります。
加齢により腎臓への血流量が減少するから、高齢者は高血圧になりやすいのです。
排泄と吸収
メインの仕事となるのはアンモニアなどの尿毒素を老廃物として排泄し、さらに余計な塩分や水分も排泄することで体液を一定に保っています。
腎臓では糸球体という器官で、血液中の蛋白質より小さな物質は水分とともに尿として出ていきます。
一度は全てを排泄してから、生体に必要なものだけを再吸収し伴走する血管に戻していきます。
結果として、ブドウ糖やアミノ酸、ミネラルなどは必要な量だけ回収されます。
腎臓は1分間に1Lもの血液を受け入れ、尿として排泄するのは一日で1L程度です。
これは、生体に必要なものでも一旦濾過して、選択的に再吸収するという腎臓の機能によります。
腎臓のメインの仕事は身体の水分の量や体液中の様々なミネラルの濃度を調整することです。
身体は腎臓からの指令によって必要なミネラルを血管に流せるように、骨の中にミネラルを蓄えています。
加齢に伴い腎臓が萎縮すると、再吸収できる量が減少するので水分やミネラルが慢性的に不足します。
骨の中には体内の
- カルシウムの99%以上
- リンの85%
- マグネシウムの60%
- ナトリウムの30%
を貯蔵して必要に応じて体液への出し入れを行っています。
腎臓での骨やミネラルの調整は、腎臓で活性型になるビタミンDが行っています。
だから、加齢による腎臓の機能低下は骨粗しょう症の原因となるのです。
まとめ
腎臓は健康を維持するうえで極めて重要な役割を果たしています。
身体にとって必要なミネラルの量は変わりますが、腎臓は必要な分だけを再吸収します。
だから塩分の摂りすぎが問題になるというよりも、加齢による腎臓の弱りが身体にとっては大きな問題となるのです。