東洋医学から見た脾は膵臓

東洋医学の脾は膵臓で、膵臓は陰ながら身体を支えている存在です。

どちらかというと血糖値をコントロールする内臓と認識されがちですが、実際には消化の際にも役立っています。

今回は、そんな膵臓について解説します。

 

膵臓とは

膵臓と言われてもピンと来ない人も多くいると思います。

実際に膵臓が弱っている患者さんに伝えても不思議そうな顔をされます。

そんな膵臓の機能は大きく

  • 外分泌
  • 内分泌

の二つの液体の分泌に分けられます。

外分泌とは消化を助ける酵素などの分泌です。

膵臓の外分泌腺からは一日約800-1000mlにもおよぶ膵液が分泌されています

膵液はアルカリ性で多数の消化酵素を含んでいます。

内分泌とは血糖値をコントロールするホルモンの分泌です。

インスリンやグルカゴンなどの血糖値を調節するホルモンが膵臓で分泌されます

膵臓が作る消化酵素と呼ばれるものには

  • リパーゼ(脂質の分解)
  • トリプシン(タンパク質の分解)
  • アミラーゼ(糖質の分解)
  • キモトリプシン(タンパク質の分解)

などがあります。

つまり膵液にはタンパク質と脂質、糖質の全てを分解する酵素が含まれるのです。

タンパク質は胃液に含まれるペプシンと膵液中のトリプシンなどの作用によりアミノ酸が繋がったペプチドまで分解されます。

胃酸が酸性なのに対して膵液がアルカリ性なのは、胃酸を中和し十二指腸を胃酸から守るためです

炭水化物は唾液や膵液に含まれるアミラーゼによってグルコースまで分解されます。

食物に含まれる脂質には脂肪酸が結合したトリグリセリドが多く、十二指腸で胆汁に含まれる胆汁酸やレシチンなどによって小さく分解されます。

分解された脂質はリパーゼによってさらに分解されて脂肪酸とグリセリンが結合したモノグリセリドになります。

膵液は腸に刺激が入ると自動で排出される仕組みなので、胃で食物が滞留したままだと膵液は十分に分泌されません

膵臓の内分泌腺からは血糖値を上げるグルカゴンと血糖値を下げるインスリンが分泌されます。

グルカゴンは脂肪細胞の脂肪をグルコースに変えたり、肝臓に蓄えられたグリコーゲンをグルコースに戻したりする作用も持っています

インスリンは血液中の糖分を減少させて血糖値が上がり過ぎないよう調整しています。

また、インスリンは血液中の余ったグルコースを脂肪細胞に蓄えたり、グリコーゲンに変えて肝臓や筋肉に蓄える働きもあります

そして膵臓からはグルカゴンとインスリンの分泌を調節するソマトスタチンも分泌され、グルカゴンやインスリンの分泌を抑制して血糖値を正常に保っています。

そのため膵臓の内分泌機能が低下すると糖尿病の原因ともなります。

 

膵臓の疾患

膵臓は暗黒の臓器と呼ばれ、病を発症しても痛みや自覚症状があまりないことで知られています

膵臓の主な疾患には膵炎による内外分泌腺不全があります。

急性膵炎は膵臓の自己消化で発症し重症化すると死亡率は10%以上です。

対して膵炎が持続性のある慢性炎症になると、内外分泌腺の機能が低下し消化吸収不良や糖尿病を引き起こします。

これらの炎症は繰り返すことで膵臓がんにつながります。

膵炎の原因にはアルコール多飲や胆石などがあります。

膵炎の治療は、基本的に膵臓を休ませるために絶食になります。

また脂質を減らして糖質を中心すると良いので、果物ではバナナがよく食事療法に用いられます。

 

東洋医学から見た膵臓

東洋医学では、膵臓は脾経に分類されます。

脾の働きは単なる消化吸収だけでなく、身体に必要な栄養物を全身の各組織に供給する機能があるとされます

東洋医学では脾の作用を

  • 運化(うんか)
  • 統血(とうけつ)

と言います。

東洋医学では脾経から吸収された身体に必要な栄養物を水穀の精微と呼んでおり、それらの栄養を運ぶ作用を運化と呼んでいます。

水穀の整備は肺からの酸素と結合して気となり

  • 心の推動作用(血液を巡らせる)
  • 肺の宣散と粛降(津液を上下に巡らせる)
  • 肝の疎泄作用(気を巡らせる)

などの運化作用を起こさせます。

脾がこれらの運化の機能を果たすためには、肝・心・肺・腎などの他の全ての臓器との共同作業が必要となります

つまり脾経に分類される膵臓は他の臓器と協調して働いているのです。

また脾の作用として、血液が血管外に漏れ出さないようにする統血という作用もあります。

そして脾は津液代謝の中で大きな役割を担ってお、体内の水分の吸収と排泄を促進します。

つまり脾は気血津液の全ての補充や運行に欠かせない中心的な臓器です

親から受け継いだ腎精を先天の本と言うのに対して、脾は後天の本と言われています。

また脾は重力に逆らって水穀の精微を上方に持ち上げる作用があるので、脾が虚すると胃下垂や脱肛などの内臓下垂の原因となります。

膵臓の異常は身体に現れにくいですが、脾としての異常は食欲や味覚に現れます。

脾が虚すると味を感じなかったり食欲がなかったりして、 下痢や腹痛などが起こります

結果として元気が無くなり疲れやすくなります。

悩みごとが多いと脾の機能は失われ、ストレスが溜まると肝の疎泄作用の低下から脾の働きも低下します。

基本的に胃腸などの消化器系の不調は脾の機能低下を疑います。

倦怠感などは、膵臓の機能低下により血糖値のコントロールが下手になっていることが原因の場合もあります。

まとめ

東洋医学では膵臓は脾経に分類されました。

これは死後の解剖では膵臓は溶けて見つからなかったためです。

ですが身体の機能を考えれば、脾経に属する内臓があるはずだと考えられていました。

消化の際には胃が注目されますが、実は消化に大きな役割を果たしているのは膵臓なのです。

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