40歳になると女性ホルモンの減少が顕著になります。
女性ホルモンの減少は婦人科疾患のみならず、様々な不調の原因になります。
今回はそんな女性ホルモンであるエストロゲンについて解説します。
エストロゲンの分泌
エストロゲンは女性ホルモンの一種で、
- 卵巣
- 副腎
- 脂肪組織
から分泌されます。
エストロゲンは排卵前に多く分泌される性ホルモンで、気分や認知、睡眠、食欲、行動などに影響を与えます。
一般的には女性ホルモンは生殖器から分泌されると思われていますが、生殖器以外からも分泌されているのです。
脳から性腺刺激ホルモンが分泌されると卵巣からエストロゲンが分泌されます。
また脳から副腎皮質刺激ホルモンが分泌されることで、副腎皮質からアンドロゲン(男性ホルモン)が産生されます。
そのアンドロゲンを脂肪組織でアロマターゼという酵素の働きによってエストロゲンへと変換されます。
エストロゲンは、
- 閉経前では卵巣
- 閉経後では副腎
からの分泌が重要となります。
ちなみに男性でもアロマターゼが存在するので、アンドロゲンからエストロゲンが合成されます。
そのため高齢の男女を比較するとむしろ男性のほうが女性ホルモンが多くなるということが判明しました。
エストロゲンの効能
エストロゲンは生殖に関する効能だけではありません。
エストロゲンには、
- 心臓や血管の柔軟性を保つ
- 骨を丈夫にする
- 悪玉コレステロールを減らす
- 脂質の代謝を促す
などの効能もあります。
エストロゲンは満腹中枢を刺激したり肌ツヤを良くしてダイエットしやすい身体にします。
そのため悪玉コレステロール値が上がってきたり、中性脂肪値が上がってきたりするのはエストロゲンが減少しているサインなのです。
女性は40歳を超えるとエストロゲンの減少が顕著になるので、高コレステロール症や脂質異常症などの生活習慣病にも注意が必要です。
また40代になって血圧が上がってきた人もエストロゲンの減少が疑われます。
エストロゲンは代謝を促す作用があるので、40代から急に太りだした人も同様にエストロゲンの減少が原因です。
また、エストロゲンは筋肉の再生にも役立つことが分かっています。
そのため40代からは運動をしても痩せづらいので、食事を減らすことが健康への近道となります。
月経前症候群(PMS)のメカニズム
卵巣内で卵胞が育つとエストロゲンの分泌量が増え、子宮内膜が厚くなっていきます。
卵胞が十分に育つと排卵が始まり卵子が放出されます。
そして排卵を終えた卵胞が黄体に変化し、プロゲステロンを分泌します。
プロゲステロンはエストロゲンによって起こった変化を緩和します。
エストロゲンは身体を興奮させる効能があり、エストロゲンが過剰に分泌され続けると子宮筋腫などの原因になります。
そうならないためにプロゲステロンの分泌が高まりエストロゲンの効能を中和させます。
PMSなどの強い生理痛やイライラなどが起こる人はエストロゲンの分泌量に対してプロゲステロンの分泌量が不足している時です。
普段からエストロゲンの分泌量が多い状態が続いていると、乳癌や子宮頸癌などのリスクも高まるので普段からプロゲステロンの分泌量を増やすことも重要です。
血液中のエストロゲンが一定量を超えると、性腺刺激ホルモンが分泌されます。
下垂体から分泌されるLH(黄体形成ホルモン)によって排卵が起こり、排卵後の卵胞は黄体という組織に変わりプロゲステロンが分泌されます。
最近では女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンの摂取が勧められています。
ですが腸内に大豆から女性ホルモンと似た働きをするエクオールを作れる腸内細菌は限られています。
エクオールを作れるのは乳酸菌の一種であるラクトコッカスです。
ラクトコッカス(乳酸球菌)はエクオール産生菌とも呼ばれ 、食べた大豆をエクオールに変換してくれることが分かっています。
ラクトコッカスはカスピ海ヨーグルトに含まれています。
まとめ
エストロゲンは大切な女性ホルモンで、エストロゲンが減少しだす40代には様々な不調が現れます。
ですがエストロゲンだけが過剰になると不具合もあります。
大切なのはエストロゲンとプロゲステロンのバランスです