「頭痛がする」
「イライラが止まらない」
「頭がぼんやりとして集中できない」
どんな症状でも気血津液で問題となるのは不足と滞りです。
気に関して言えば不足しても問題ですが、現代人は滞りが起こりやすいのが特徴です。
今回は気(代謝)の滞りである気滞(きたい)について解説します。
気滞とは
気滞とは気(代謝)がスムーズに流れない状態です。
気の不足は気虚(ききょ)と呼ばれます。
気虚に対して気滞は気が十分にあるのに流れが滞って問題が起こっている状態です。
気滞の主な症状は
- 不眠
- 頭痛
- 月経痛がきつい
- 情緒不安定
などです。
気滞になると血(栄養)や津液(水分)の流れを悪くするので、気滞をきっかけに様々な問題を起こします。
東洋医学では気血津液をトータルで考えるので、気血津液のどれか一つだけを問題にはしません。
大切なのは、何がきっかけで気血津液に問題を起こしているのかを重視します。
気滞の一番の問題は自覚しづらいということです。
自覚できるのは、あくまで気滞という状態になってから現れる様々な不調だけです。
そのため気滞の状態になって不調を自覚するときにはある程度は症状が悪化しています。
そして不調を根本的に解消するためには気滞を解消する必要があります。
気滞の原因
気滞の原因は色々ありますが、一番多いのは精神的ストレスです。
ストレスには
- 不眠や過労などの肉体的ストレス
- 上手くいかないことに対する精神的なストレス
などがあります。
体力的に負担がかかる肉体的ストレスも気滞の原因となり、ストレスから始まる気滞は瘀血(おけつ)を併発しやすくなります。
ですが最近では物事が上手くいかないことに対し精神的なストレスを感じてイライラする人が増えています。
精神的なストレスを抱えやすいのは責任感が強かったり、完璧主義だったりする人です。
そしてストレスの発散が苦手だと、どんどんと交感神経が優位になって自力では自律神経を整えられなくなります。
肉体的にも疲れが溜まると肝臓での代謝が亢進し睡眠の質が低下します。
そのため肉体的ストレスが溜まることで精神的ストレスに弱くなっていくのです。
睡眠の質が低下することで気滞の症状はさらに悪化します。
疲れが溜まって交感神経が高ぶると頭に熱がこもって偏頭痛が起こりやすくなります。
また代謝が過剰になる原因としては食べ過ぎもあります。
食べ過ぎによる気滞は、食事で発生する熱が身体から発散させる熱を上回ったときに起こります。
そのせいで消化器系に溜まった熱を東洋医学では湿と呼び、消化器系に熱が溜まった状態を脾胃湿熱(ひいしつねつ)と呼んで気滞や痰湿の原因としています。
食べ過ぎによる気滞は痰湿(たんしつ)を招き、痰湿と気滞は相互に影響しあい、どちらかが悪化することでもう片方も悪化する悪循環に陥ります。
気滞が悪化しやすいのは春で、痰湿が起こりやすいのは季節の変わり目になります。
気滞を解消するには
基本的に気滞を解消するのに必要なことは、溜まった熱を発散させる機能を高めることです。
身体にこもった熱を発散させるには尿を出すのが効果的です。
汗も効果はありますが表面的な熱の発散になるので、身体にこもった熱を排泄するには尿の方が効果的です。
身体の水分の巡りを良くして余計な水分を排泄すれば、頭にこもった余計な熱も発散しやすくなります。
また頭にこもった熱を発散させるには香りを嗅ぐのも有効です。
特に柑橘系の香りには気滞を解消する効果が大いに期待できます。
また紅茶は痰湿を解消して尿の排泄を促すので、気滞と痰湿を同時に解消する効果があります。
紅茶は日本よりも高温多湿なインドの方で飲まれているので、日本茶よりも痰湿を解消する効果が期待できるのです。
そのためレモンの果汁を入れてレモンティーにすると効果は倍増します。
日本では余分な水分を排泄するのにトウモロコシを利用してきました。
トウモロコシを利用したお茶や、トウモロコシを一緒に炊き込んだコーンご飯なども人気です。
また冬であればコーンスープもおすすめです。
気滞の解消で注目されているのはコーヒーです。
コーヒーの香りによるリラックス効果や、コーヒーの苦味や酸味が痰湿の解消に役立ちます。
ちなみにリラックス効果の高いニコチン酸の含有量が多いのは深煎りのコーヒー豆になります。
まとめ
気滞は現代人に増えている状態の一つです。
汗をかかずに水分の摂取量が減っている人は気滞になりやすくなっています。
そのため普段から頭部の問題が起こりだしたら早めの対処を心がけましょう。