現代医学の弱点は内臓を個別に検査するところです。
東洋医学では内臓どうしの影響を重視しています。
内臓は単独で働いているのではなく、他の内臓から助けられています。
今回は、肝と脾がお互いに与える影響について解説します。
肝脾不和(かんひふわ)とは
肝脾不和とは、肝と脾(消化器系)の機能が協調できない状態を指します。
まずは肝の機能が低下し、肝の機能が低下したことで脾の機能も低下します。
そもそも肝臓の気(代謝)は、脾をコントロールする関係にあります。
ですが肝の気(代謝)が失調すると、脾の気がコントロールできない状態になります。
すると脾は気が不足して脾気虚の状態になります。
多くの場合は、肝脾不和の原因となるのは肝の気(代謝)が低下する肝鬱気滞です。
肝鬱気滞とは精神的ストレスから肝に大きな負担がかかっている状態です。
肝の気は精神的ストレスに対して始めは頑張りますが、長く続くことで疲れて肝気が低下しだします。
脾気虚は暴飲暴食などがきっかけでも起こりますが、多くの場合は肝鬱気滞がきっかけで脾気虚は起こります。
精神的ストレスが原因で起こる神経性胃炎がまさに肝脾不和の状態と言えます。
肝脾不和を解消するには
肝脾不和が起こり脾気虚になると消化吸収が十分に行えません。
消化吸収が不十分になると血(栄養)が不足して血虚が起こり、今度は肝血虚となります。
そのため血虚の症状が目立つ人でも、場合によっては肝鬱気滞と脾気虚の解消が重要となる場合があります。
脾気虚は他の臓器の気虚の原因となります。
そのため気虚ならどの臓器であっても、まずは脾の気を高めることが基本となります。
そして肝鬱気滞は現代人が最も多く抱える証の一つです。
肝は精神的なストレスだけでなく、睡眠不足や過労がきっかけでも起こります。
だから肝鬱気滞を避けるには、まずは十分な睡眠時間と休息が必要です。
脾気虚を解消するには消化器系の負担を減らすことが重要です。
消化器系の負担を減らすには、消化をスムーズにすることがポイントです。
消化をスムーズに行うには、
- 食事量は腹八分目
- よく噛んで食べる
- 野菜の割合を増やす
などです。
食べたものを消化するには多くのエネルギーが必要で、満腹になるまで食べると消化器には大きな負担となります。
また消化を促すためには、しっかりと噛んで唾液を出すことも大切です。
唾液に含まれる消化酵素は炭水化物の消化を助けます。
だから早食いだったりよく噛まなかったりして食べると消化不良を起こすのです。
消化酵素が多くあれば消化を助けてくれるので、消化酵素を多く含んでいる野菜も意識して食べることも重要です。
まとめ
肝脾不和は肝の機能低下から消化器機能が低下した状態です。
その状態で消化器系に負担をかければ余計に肝も弱ります。
だから肝脾不和の解消には身体を休めると同時に、消化器系も休めてあげましょう。