「以前はこんなに疲れなかったのに」
「寝ても疲れがとれなくなった」
「筋肉が落ちた気がする」
加齢に伴い身体には様々な変化が起こります。
顕著な変化としては血流量の低下があります。
今回は、血流量の低下から起こる筋肉量の減少について解説します。
筋肉量の減少
筋肉量の減少は30歳前後から始まり、高齢者になるほどに減少します。
こうした筋肉量の減少を左右するのは成長ホルモンとテストステロンです。
また、筋肉の質でも差があり、速筋線維の方が遅筋線維より多く失われます。
そのため年齢とともに筋肉は素早く収縮できなくなります。
そんな加齢に伴う筋肉量の減少が起こる原因はテストステロン値の減少で、テストステロン値が低下することによる状態はLOH症候群(加齢性腺機能低下症)と呼ばれます。
テストステロンが年齢とともに低下すると、筋肉量と筋力が減少して肥満や糖尿病、循環器疾患にかかりやすくなることが分かっています。
特に男性の低テストステロンは心血管疾患と深いかかわりがあり、動脈硬化の原因となる炎症が起こりやすくなることも発見されました。
動脈硬化の原因となるのは三層ある血管の内膜の機能低下です。
そのため筋委縮を防ぐために大切なのは、血管の内膜の機能を低下させないことです。
血管の機能を高めるには
最近になって、高強度のトレーニングは血管内膜の機能低下を起こすことが分かりました。
実際に高強度の筋トレを1回行うと、少なくとも60分間は血管内膜の機能が低下するとのことです。
そのため普段から高強度の筋トレを続けていると、長期的に見ると動脈硬化を促進させている可能性があるのです。
血管内膜の機能を高めて動脈硬化を予防するには、ウォーキングくらいの運動を週に4〜5日のペースで30〜60分程度行うことだとされています。
基本的に短期的に効果を発揮するものではなく、長期的に継続することでウォーキングの有効性は証明されています。
少なくとも4週間の継続を必要としますが、普段から続けていればたまにサボっても急に動脈硬化が悪化する心配はないとのことです。
また、激しいランニングよりも軽めのウォーキングの方がテストステロンの分泌が増えることが分かっています。
血管が柔軟で、血流が良い状態の方が筋肉の萎縮は防げます。
まとめ
加齢により筋肉量が減少するのはテストステロンの減少が原因です。
そのためテストステロンを分泌する運動は大切ですが、ハードな運動は逆効果です。
まずは軽めのウォーキングから始めれば筋肉量の減少は防げるので、無理のない運動を続けましょう。