「何となく体調が悪い」
「でも何が原因か分からない」
「今日は雨だ」
東洋医学では天候が身体に与える影響を六淫(りくいん)と呼んでいます。
その中でも湿度の高さで起こる不調は湿邪(しつじゃ)によるものと考えています。
今回は六淫の一つである湿邪について解説します。
湿邪とは
湿邪とは湿気の高さによる現れる不調であり、湿度が高いせいで身体の水分代謝が低下してむくんだ状態です。
水分代謝の悪化は特に胃腸の機能を低下させるので、梅雨の時期などに下痢や便秘をしやすい人は湿邪に弱いと言えます。
人間の身体に水分は必要ですが、過剰な水分があると身体の巡りを滞らせます。
身体の水分の流れが滞った状態は痰湿(たんしつ)と呼ばれ、足の冷えや腰痛などの原因となります。
特に梅雨の季節は湿気が多いので、
- なんとなくダルい
- 足がむくむ
- 憂鬱な気分
などの湿邪による影響が現れます。
湿邪に負けた身体は水溶性の老廃物をうまく排出できず、下半身に老廃物が溜まった状態です。
そのため湿邪に負けると下半身の不調が現れやすく、腰痛や神経痛、冷えなどが悪化しやすいのも特徴です。
湿邪を解消するには
また、湿邪の影響をもっとも受けやすいのは消化器系です。
胃や膵臓などの消化器系は消化吸収と水分代謝に関係しています。
そのため湿邪に胃腸がやられると、
- 食欲低下
- 消化不良
- お腹の張り
- 下痢
などになりやすくなります。
本来なら余計な水分は常に排泄されていますが、体調が崩れていると湿邪をうまく身体から出すことができません。
普段から身体がむくみやすい食事を摂っている人は湿邪に負けやすくなります。
身体をむくませる食事は糖質が多かったり塩分が多かったりする食事です。
現代人は砂糖たっぷりの飲み物や塩辛い食べ物を好んでいるので、湿邪に負けやすい身体になっています。
基本的な湿邪の対策は身体を動かし汗をかくことです。
湿邪は停滞する性質をもっているので、じっと座っていると悪化しやすくなります。
そのため普段から
- ラジオ体操
- ウォーキング
- ストレッチ
などの軽い運動でも良いので身体を動かして軽く汗を出すのが効果的です。
また湿邪の大敵は冷えですなので、冷たい飲み物やアイスなどは身体がむくんでいる時は避けましょう。
身体は冷えるとむくみやすくなり、むくんでいると冷えやすくなります。
そのため湿邪に負けているときは温かい飲み物が一番です。
冷たい飲み物が美味しくても白湯を飲むのが湿邪には効果的です。
さらに余計な水分の排出を助ける食べ物を選べば胃腸も元気になります。
湿邪を解消する薬膳
香辛料などの香りが強い野菜は、胃腸の働きを活発にし余分なものを流す作用があります。
湿度が高いインドなどで香辛料などが多様されるのは、こういった側面もあるからです。
香りが強い野菜には
- 生姜
- ねぎ
- にら
- にんにく
- しそ
などがあります。
その他にもカレー粉や唐辛子、山椒などのスパイスも身体を温め発汗を促し湿邪を解消します。
薬膳から見ると、痰湿を解消するには利尿や去湿(きょしつ)の作用がある食材がおすすめです。
そして、夏が旬の野菜は、身体の熱をとり尿として水分を出す利尿作用があります。
- きゅうり
- トマト
- 茄子
- かぼちゃ
- メロン
- 桃
などがそれにあたります。
ただ水分が多く利尿作用のある食べ物は、食べすぎると冷えにつながるので食べ過ぎは禁物です。
薬膳の去湿類は津液(水分)の代謝を高めて痰湿を取り除く食材です。
去湿類には、
- 小豆
- エンドウ豆
- 黒豆
- コーヒー
- ゴボウ
- さくらんぼ
- すもも
などが分類されます。
一年を通して同じものを食べるのではなく、身体のむくみがひどいと感じるときには以上のような去湿や利尿の作用がある食材を選びましょう。
まとめ
湿邪が盛んになるのは梅雨や残暑の時期です。
胃腸が弱ることで身体の水分は滞り湿邪に弱くなります。
湿邪に負けて痰湿の状態になったら、水分代謝を高めて身体を健康にしましょう。