東洋医学から見た腎臓という内臓

腰が痛くなる。

尿検査が疑陽性だった。

尿がやたらと黄色い。

尿を排泄する腎臓は重要な臓器です。

現代医学ではそこまで重視されていません。

ですが東洋医学では最も重視されている臓器です。

今回はそんな腎について解説します。

 

現代医学における腎臓とは

現代医学における腎臓の重要性は、二つあるから一つはとっても大丈夫位のものです。

もちろん腎臓の様々な機能を考えれば、あるに越したことはありません。

ですが東洋医学と現代の西洋医学では腎臓の重要性はかなり違います

西洋医学から見た腎臓の主要な機能とは、

  1. 体内の老廃物の排泄
  2. 体液の恒常性の維持
  3. ホルモンの産生

になります。

1、老廃物の排泄

老廃物には水溶性と不溶性があり、水溶性の物は尿として腎臓から排泄され不溶性の物は肝臓を経由して便として排泄されます

腎臓は水溶性の老廃物を血液から濾し出して尿として排泄します。

水溶性の老廃物とは、タンパク質が体内で代謝されてできた窒素化合物(尿素やクレアチニンなど)です。

尿の排泄量は血圧に左右されるので、排泄物が多い時ほど血圧は高まります。

ですが、血圧が高すぎると腎臓の負担となるので、血圧のコントロールは大切になります。

その他にも体内に入った不要な薬物や毒物も水溶性であれば尿の中に溶けて排泄されています

2、体液のバランスの維持

腎臓は体内の水分を一定に保つために

  • ナトリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • カリウム

といった電解質の割合も保ちます。

3、ホルモンの分泌

また腎臓は各種のホルモンや酵素を産生したり分解したりします

腎臓が分泌するのは、

  • レニン
  • プロスタグランジン
  • エリスロポエチン

などです。

腎臓はレニンと呼ばれる酵素を分泌してNa・Kなどの吸収を左右し血圧の調整も行っています。

レニンは、血液中のたんぱく質に作用してアンジオテンシン(血圧上昇ホルモン)を作ります。

また、プロスタグランジン(血圧降下ホルモン)を分泌して血管を拡張することで血圧を下げます。

腎臓はレニンとプロスタグランジンを使い分けることで血圧を調節します

エリスロポエチン(赤血球の産生促進)の分泌が減少して貧血の症状が出てきます。

そして腎臓では血液中を流れるインスリン(血糖値を下げる)を分解しますが、腎機能が低下しているとインスリンの分解能力が低下します。

これらのホルモンの効能で血圧や水分代謝のを調節し、赤血球の産生を促し血(栄養)を調節します

他にも、多くのホルモンを分解します。

アセトアミノフェン やアラキドン酸などの薬物を始め、水溶性のペプチドホルモンなどを分解します。

こられのホルモンは分解が遅れると新たな分泌が滞ります。

また腎臓で活性化されるビタミンDの骨を強くする作用をホルモンとして認識する人もいます。

そのため、

  • 不妊
  • 疲れやすさ
  • むくみ
  • 血糖値の異常
  • 骨粗鬆症
  • 代謝の低下

などは腎臓の機能が低下してホルモンの分解が遅れた時に出る症状です。

 

腎臓の労わり方

腎臓をいたわる良い方法としては現代医学では、

  • 塩分を控える
  • 汗をかく
  • 睡眠をとる

などを推奨します。

腎臓は塩分と水分の排出をコントロールして血圧の調整を行うので、過剰な塩分は腎臓の大きな負担となります。

現代の食事は塩分過多になる傾向があるので調味料も含めて味の濃い料理は避けるのが基本です。

現代で行う人工透析がなかった時代には、ゆっくりぬるめの湯につかることが推奨されていました。

風呂に入って汗をかくことも腎臓の回復には効果的です。

ローマ時代にも風呂に入って汗を出すという治療法は頻繁に行われ、江戸時代にも医者が見放した患者が湯治で完治したという記録が残っているほどです。

もちろん、汗をかきすぎて脱水状態になると危険なので、水分を多く摂る事が治療のポイントです。

また、しっかりと睡眠を取ることも大切です。

統計的に一晩当たりの睡眠時間が5時間以下の女性は、睡眠時間が7~8時間の女性に比べて、腎機能が早く衰えるリスクが65%も高かったという報告があります。

睡眠は時間だけでなく質も重要です。

質の良い睡眠とは眠る前の3~4時間は何も食べていない状態です。

特に塩辛い食事が体内にあると、腎臓は睡眠中も水分や塩分の調整をするので、ゆっくり休めません。

そのため空腹の状態で夜の10時には布団に入って朝6時ごろまでは寝るのが理想です

 

東洋医学における腎とは

東洋医学では腎の役割として、

  • 成長
  • 発育
  • 妊娠

には親から受け継ぐ腎の力が必須と考えています。

そのため東洋医学において腎とは成長や生殖行動に欠かせない存在と捉えています

ですが親から受け継いだ腎の強さは50歳くらいから不足し出します。

そのため50歳になったら腎に気をつけた生活が大切です。

腎をつよくするには、

  • 塩分
  • 水分

のバランスをとるようにしてくことが大切です。

腎の力は年齢とともに衰えると考えられており、実際に腎機能の低下は老化現象の一つです

また腎機能の低下が老化を加速させます。

年齢を重ねるにつれて腎臓の重量は減少し、腎臓での血液のろ過量が次第に低下します。

原因は腎臓の動脈が細くなる事で腎臓のサイズも小さくなります。

すると糸球体の機能が低下して、老廃物や多くの薬物を排泄する能力が低下し、尿の濃縮や水素イオンの分泌ができなくなります。

本来ならこのような加齢に伴う変化が生じても問題はありませんが、予備の能力を失った腎臓はちょっとした負荷で不具合が生じるようになります

 

腎を強く保つには

腎を強くするには、適度な塩分と水分が必要だと書きました。

よく塩分は制限したほうが良いと言われますが、それは欧米の乾燥した気候でのお話です。

日本は湿潤な気候なので、適度な塩分がないと水分の排出が行えずむくみの原因となるので要注意です

人間の味覚はチェック機能も持ち合わせています。

塩を多めに入れて調理しても、味がちょうど良いと感じるなら身体が必要としているのです。

ただし味の濃い食事になれている人は味覚がマヒしていることもあります

ポカリスエットなどでも汗をかいていなければ美味しくは感じませんよね?

一般的に、その人にとって美味しく感じるものがその時の体調に合っているということです。

まずいと感じる時は身体に不必要な成分ということです

問題なのは、ミネラルなどが含まれない

  • 食卓塩
  • ダシの素

などの調味料になります。

ミネラルとはカリウムなどの過剰な塩分を排泄する成分です。

そんなミネラルが不足することで身体には塩分が残りやすく身体に異常なむくみを引き起します

また腎は寒さに弱いので冬は腎が特に弱りやすい季節です。

そのため冬は

  • 白湯を飲む
  • お風呂でしっかり温める

などが腎を弱らせないために必要です。

 

肝と腎の相互作用

肝と腎は内臓同士の関係が深い臓器です。

東洋医学では成長をコントロールするのが腎で、そのための血(栄養)を蓄えておくのが肝になります

実際に成長ホルモンを分解して新たな成長ホルモンの分泌を促すのが腎臓で、成長ホルモンが作用して身体に代謝を起こさせるのが肝臓です。

東洋医学では、身体の成長の中心となるのが腎で骨の発達もコントロールします。

東洋医学の腎とは、厳密には腎臓のことだけでなく副腎なども含めた広い概念となります。

また、肝は血(栄養)を蓄え栄養素だけでなくホルモンなどのバランスも整ます

肝の役割は、内臓の筋肉も含めて血(栄養)を配分することで、筋肉の維持や生成などもコントロールしています。

また性ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンなどの脂溶性ホルモンを分解するのは肝臓です。

肝や腎の機能は年齢とともに衰えるので、肝や腎の衰えは身体を支えている骨や筋肉の低下を招きます。

また、年齢とともに気(代謝)や血(栄養)も減少し免疫力も低下します。

そのため年齢とともにリウマチを悪化させる外邪の

  • 風(ふう)
  • 寒(かん)
  • 湿(しつ)

に負けやすくなります。

生長を司り津液(水分)を調節する腎と、血(栄養)を蓄える肝を補うには、

  • 袪風寒湿(きょふうかんしつ)
  • 補益肝腎(ほえきかんじん)

の働きがある生薬の独活(どっかつ)と桑寄生(そうきせい)が有効とされます。

この二つの生薬の働きで、風湿寒の外邪に負けなくなり、肝腎の機能を高めます。

独活はセリ科のウドで解熱や鎮痛作用があります。

桑寄生は桑などに寄生したヤドリギ科の植物で、肝腎の栄養を補って、風邪、寒邪、湿邪を取り除きます。

 

東洋医学から見れば肝腎要

肝は内臓の活動量や状態によって必要に応じて蓄えた血液を配分します

そして、寝ている間に肝臓は血(栄養)を回収します。

肝と腎は、密接な関係をもちます。

肝は血(栄養)を貯蔵し、腎は精を貯蔵します。

精は老化にブレーキをかけ寿命を長引かせる存在です。

東洋医学では腎の成長が遅く衰えるのが早い臓器と考えられています。

そんな腎を元気に保つには、腎が精を蓄える冬の夜11時から夜中の2時までの3時間はしっかりと睡眠をとることとされています。

腎の津液(水分)の不足は、肝の津液(水分)不足ももたらします

そのため、睡眠不足や過度のストレスでは、肝と腎は同時に津液(水分)不足になります。

この状態は、肝腎陰虚証と呼ばれ、

  • 自律神経失調症
  • 高血圧症
  • 更年期障害

などを引き起こします。

自律神経失調症や更年期障害はなる人とそうでない人がいます。

その差を分けるのが肝腎の機能です

そのためストレスを減らすのが難しくても、睡眠だけは確保することが大切です。

グッスリ睡眠が出来ていれば肝腎は強くなり自律神経も整います。

まとめ

腎は東洋医学から見れば重要な臓器です。

成長と老化を司る腎は運動不足や睡眠不足で機能の低下が顕著となります。

そのため普段から睡眠時間に気を付けることが老化を防ぐことにつながります。

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