[kaiwa1]今回は神経伝達物質のアセチルコリンを解説します。
アセチルコリンは交感神経と副交感神経の両方で働くので、自律神経を整えるうえで非常に重要です。
ですがアセチルコリンは意外に知らない事が多くあるので紹介します[/kaiwa1]
アセチルコリンとは
アセチルコリンはコリンとアセチルから作られる神経伝達物質です。
コリンはリン脂質と呼ばれる脂質の一種です。
コリン自体にも記憶力を高めたり、肝機能を高めたりする働きなどがあります。
アセチルコリンの作用は、
- 交感神経と副交感神経
- 運動神経
- 迷走神経
- 汗腺
の伝達物質として機能しています。
アセチルコリンにはニコチン受容体とムスカリン受容体があり、末梢では副交感神経の活動を制御します。
アセチルコリンは様々な場所で作用し、
- 心拍数の低下
- 血管の拡張
- 消化液の分泌促進
- 排尿を促す
などの副交感神経の作用があります。
アセチルコリンは心臓の活動を抑制する一方で、骨格筋を興奮させるという正反対の作用を持っています。
それはアセチルコリンの受容体が数種類あって、受容体の種類によって様々な機能を果たすからです。
正常な排尿では神経からアセチルコリンが分泌されて膀胱が収縮することで起こります。
ですが、アセチルコリンが過剰に分泌されると膀胱の筋肉が収縮しやすくなり過活動膀胱の原因ともなります。
過活動膀胱にはアセチルコリンを抑える抗コリン薬が処方されますが、その他の副交感神経の作用も抑制されてしまいます。
アセチルコリンとニコチン
タバコを吸うと気分が落ち着くという人がいます。
これは半分は正解です。
実際にニコチンはアセチルコリン受容体に作用します。
アセチルコリンの受容体の種類にはニコチンでも反応するものがあり、交感神経や運動神経を興奮させます。
ニコチンを受け取った受容体はアセチルコリンが来たものと勘違いします。
勘違いではありますが、一時的に活動を高めて記憶や学習の効率を上げられます。
ですがニコチンを過剰に摂取すると、アセチルコリンが出なくなってしまいます。
そしてニコチンは一時的な効果なので、ニコチンが切れてしまえばすぐに記憶力や学習能力の高まりは失われてしまいます。
むしろ、通常の状態より学習能力が低下してしまうのがニコチンの恐ろしさです。
さらにニコチンは血管を収縮させるので発ガン性もあります。
アセチルコリンによる筋肉の収縮
アセチルコリンは筋線維の受容体と結合することで筋肉を収縮させます。
この時にナトリウムイオンが筋線維の細胞質に流入し、筋繊維に貯蔵されていたカルシウムイオンの放出が起こっています。
そのためナトリウムやカルシウムの不足によって筋肉の収縮に不具合をきたし強い脱力感が生まれます。
私たちの身体は蓄えていたナトリウムを使うことで生命活動をサポートします。
そのため体内に蓄えていたナトリウムが不足すると、
- 水分
- 血液
- 消化液
などの量を減らして生命活動を維持しようとします。
血液循環が悪くなれば頭痛や倦怠感、疲労感などが起こります。
さらに消化液の減少は食欲不振や吐き気の原因となり、さらに筋力が低下し筋肉痛が起こりやすくなったりします。
またナトリウムの急激な減少は筋肉の痙攣を起こして昏睡状態になることもあります。
またナトリウムが体内に蓄えられている事で、アセチルコリンによる神経の情報伝達はスムーズになります。
そのため塩分不足はアセチルコリンの働きを弱めてしまいます。
カルシウムが不足しても細胞の情報伝達には不具合が生じ、全ての細胞の機能維持に影響します。
細胞の情報伝達が低下すると自発的な細胞死(アポトーシス)が起こると言われています。
結果としてカルシウム不足による神経伝達の低下は、
- 免疫系
- 内分泌系
- 呼吸器系
- 循環器系
- 腎臓系
など様々な面で悪影響を及ぼします。
そのため、アセチルコリンによる情報伝達を正常に保つためにはナトリウムとカルシウムの濃度を保つことが大切です。
また、カルシウムの不足は認知症や精神疾患などの疾患にも深く関連することが分かっています。
アセチルコリンを増やすには
アセチルコリンの主要成分であるコリンはビタミンに似た成分です。
そんなコリンは体内ではほとんど合成できないので食べ物などからの摂取が必要です。
コリンを多く含む食品には、
- 卵黄
- レバー
- 大豆
- にしん
などがあります。
これらのコリンを多く含む食品はコリン食と呼ばれ、定期的に摂取することで認知症の改善が期待されています。
また健康な人でも、コリン食を積極的に摂取することで記憶力の向上や集中力の向上が期待できると考えられています。
加えてビタミンB12を同時に摂取することで、コリン食の効果は高まると考えられています。
ビタミンB12は牡蠣などの魚介類に多く含まれています。
また無理のないウォーキングもアセチルコリンを増やします。
加えて足の関節を曲げ伸ばしすることも効果があるので、日々のウォーキングとラジオ体操などはアセチルコリンの分泌を高めるのに効果的です。
アセチルコリンは精神にも肉体にも重要!
[kaiwa1]アセチルコリンは神経伝達物質としてしか知られていませんが、非常に重要な役割を果たしています。
ノルアドレナリンやセロトニンほど注目されていませんが、アセチルコリンの過不足は自律神経の乱れを招きます。
そのため普段からアセチルコリンにも注目することが大切です。[/kaiwa1]