興奮とリラックスのバランスが大事。
バランスを整えるにはどうしたら良いのか?
よく聞かれる内容です。
身体を興奮させるのは交感神経の働きです。
交感神経を刺激するのはアドレナリンとノルアドレナリン、ドーパミンです。
その中でも特に身体を興奮させるアドレナリンを解説します。
アドレナリンとは
アドレナリンはノルアドレナリンと同じ神経伝達物質と呼ばれるホルモンです。
自律神経には交感神経と副交感神経の二種類があり、どちらも交感神経を刺激して身体を興奮させるのが役割です。
交感神経は自動車のアクセルの役割で、副交感神経がブレーキの役割を果たします。
副交感神経の場合は主にセロトニンが神経伝達物質として働きます。
アドレナリンとノルアドレナリンは元々が同じ物質で出来ています。
どちらもドーパミンというホルモンから作られ、ドーパミンからノルアドレナリンが作られてノルアドレナリンからアドレナリンが作られます。
ドーパミンの原料となるのはチロシンと呼ばれる必須アミノ酸です。
そのため突然にアドレナリンが現れるのではなく、前段階としてドーパミンからノルアドレナリンの段階を踏みます。
ドーパミンも神経伝達物質として働き中枢神経の伝達をします。
さらに生成される場所も異なり、ノルアドレナリンは中枢神経系で主に生成されますがアドレナリンは腎臓の上にある副腎髄質で主に生成されています。
アドレナリンとノルアドレナリンの受容体は同じですが、受容されやすさは違います。
受容体とはホルモンなどの化学物質を受け取る細胞の一部分で、選択的に受容するので必要な器官にだけ情報がいきわたります。
ノルアドレナリンとの違い
アドレナリンとノルアドレナリンを共に感知する受容体は大きく分けて 5種類あります。
ですが受容体によって作用が少し違ったり、伝達経路が違ったりします。
内臓などの筋肉だと、ノルアドレナリンは内臓の筋収縮を引き起こしますが、アドレナリンだと内臓の筋弛緩を引き起こします。
アドレナリンは視床下部と末梢神経に作用して内分泌系に加えて循環器系を調節します。
ノルアドレナリンは脳全体と交感神経に作用して、内分泌に加えて自律神経反射や痛覚を調節します。
どちらも交感神経系の節後細胞に働き血管の収縮や血圧の上昇、心拍数の増加などを起こします。
またアドレナリンとノルアドレナリンの大きな違いに精神面と肉体面があります。
アドレナリンは主に肉体面に作用し、ノルアドレナリンは主に精神面に作用します。
心臓の動悸が激しくなるのはアドレナリンの作用ですが、精神的な興奮に強く影響するのはノルアドレナリンになります。
ノルアドレナリンによって脳が興奮すると、
- 感覚が鋭くなる
- 注意深くなる
- 記憶力の向上
などが起こります。
細かいことに気が付いてイライラする時にはノルアドレナリンが多く分泌されています。
適度なノルアドレナリンは脳の機能を向上させますが、過度なノルアドレナリンはイライラして怒りやすくなります。
ノルアドレナリンが過度になる原因は主にストレスです。
ストレスが原因でノルアドレナリンが過剰になっている状態は気滞(きたい)と呼ばれます。
ですが長期的なストレスにさらされると今度はノルアドレナリンが不足します。
ノルアドレナリンが不足すると、やる気が出なくなったり感情が乏しくなったりする抑うつ状態となります。
アドレナリンが不足した状態は肉体的な脱力感を起こすで気虚(ききょ)と呼ばれます。
このノルアドレナリンが不足しないように適度な所でブレーキをかけてくれるのがセロトニンです。
そのため抗うつ薬の主成分はセロトニンです。
アドレナリンもノルアドレナリンも調節してくれるのはセロトニンなので、セロトニンを増やすのが基本的に大切です。
まとめ
アドレナリンはノルアドレナリンよりも肉体面に作用します。
アドレナリンの原料はドーパミンでノルアドレナリンと同じです。
だから大きな違いというよりも似た作用を多く持ちます。