「最近、なんだか疲れやすい。顔色が冴えない、眠りが浅い、髪や肌のツヤも落ちてきた気がする…。」
それはもしかすると、血(けつ)の不足である血虚(けっきょ)かもしれません。
東洋医学では、血は体の栄養であり心を落ち着かせるエネルギーでもあります。
今回は、そんな血虚の正体と、肝と心との関係、そして毎日できるセルフケアについてお話しします。

血虚の正体とは
東洋医学の血虚とは体を巡る血が不足している状態で、全身の栄養と潤いが不足し気持ちが不安定になっている状態です。
血が不足すると顔色が悪くなったり髪や爪が乾燥し、さらには不安や不眠、イライラといった気持ちの乱れにもつながります。
特に女性は生理・出産・更年期などで血を消耗しやすく、男性よりも血虚になりやすいのが特徴です。

男性が血虚になる主な原因は消化管の出血や飲酒の多さによる血の消耗、もしくは不十分な栄養摂取や消化吸収機能の低下などがあります。
また、男女ともに精神的な過労やストレスなどは血の消耗が増えるので、結果的に血虚になりやすくなります。
血は気との関りも深く気虚や気滞がきっかけでも血虚は起こり、また血の不足は水の不足にもつながります。

東洋医学の肝と心と血虚との関係
血と関りが深いのは肝と心で、肝は血を蓄え全身へ巡らせ心は血を使って感情や意識を安定させます。
つまり、血が不足すると血の巡りは滞りがちになり、心身ともに不調が現れるようになります。
血は睡眠中に補われるので、心の機能が低下し不眠になる事で余計に血虚は悪化する事になります。

また、目などの局所的な疲れは肝の血虚を招き、精神的なストレスが長く続くと心の血虚を招きます。
血虚のケアとしては血を補う食事も大切ですが、心身のストレスを取り除くことも大切になります。
そして呼吸を整える事で気も同時に巡らせて、熟睡できるようにする事が血虚の解消につながります。

血虚タイプのセルフ整体と日常ケア
血虚の解消に必要なのは体を温めて緩めることで、薬膳や体操を通して熟睡するのが目標になります。
ポイントはお腹のストレッチやゆっくり深い呼吸になるので、普段から4秒吸ってお腹を膨らませ8秒吐いてお腹を凹ませる腹式呼吸は効果的です。
その後にお腹を伸ばすアシカのポーズを10秒くらいするのがお勧めで、しっかりとお腹の筋肉を刺激することで体は緩み温まります。

食事では赤い食材を意識することが大切で、レバーやナツメ、ニンジンやブドウなどは血虚の解消に役立ちます。
また、それらの食材を調理する時には火を通すことが大切で、煮込み料理などにして消化の負担を減らしましょう。
ホウレン草などの鉄分を多く含む食材は肝の血を補うのに有効なので、そういった食材もお勧めになります。

まとめ
血虚とは体を潤し精神を安定させる血が不足した状態です。
血は肝に蓄えて巡らせられ、心によって精神の安定に使われます。
血虚を解消するには腹式呼吸とアシカのポーズに、赤い食材を意識することが大切です。