最も多い肝臓が弱った証は肝鬱気滞です。
今回は、そんな肝鬱気滞を解説します。
肝鬱気滞(かんうつきたい)とは
肝鬱気滞は肝気鬱滞(かんきうったい)とも呼ばれ肝の証の中でも最もよく現れます。
肝鬱気滞は気滞(きたい)に分類され、気滞が起こる一番の原因が肝気によるものです。
気滞とは、発生した熱が発散されずに身体にこもった状態です。
肝鬱気滞は主に肝の疏泄作用が低下することで起こります。
肝の疏泄作用が低下すると、全身にうまく気が巡らなくなります。
全身の気(代謝)の巡りが悪くなる事で気滞となり様々な不調が現れます。
特に気滞の症状が起こると精神状態が不安定になります。
肝気は常にのびのびと動き回っていないと不調の原因になり特に精神状態に大きく影響します。
肝鬱気滞の症状
東洋医学では精神の働きは肝と心がすると考えています。
脳の大脳新皮質が担当する理性的な部分は神志と呼び心が担当し、大脳辺縁系と呼ばれる本能的な部分は情志と呼び肝が担当するとしています。
そのため肝鬱気滞による情志の失調は本能的な喜怒哀楽を出せなくなります。
肝気が滞ると情志が不安定となり、
- 気分が塞ぎこむ
- イライラする
- ため息が増える
- 楽しめない
などの精神状態になります。
また女性であれば月経不順や乳房の脹りなどが現れやすくなります。
場合によっては身体に炎症や腫瘍が起こりやすくなります。
肝鬱気滞を解消する食事
肝鬱気滞が続き肝が弱ってくると筋肉が痙攣しやすくなります。
また目が疲れやすくなったり首周りの筋肉がこわばり凝りを感じやすくなります。
このような状態だとストレスに弱くなり、軽いストレスでも肝気鬱滞が悪化します。
肝鬱気滞を解消するには心身ともにゆとりを作る事が大切です。
ゆったりとした時間を過ごすことに加えて香りのある物が大脳辺縁系にダイレクトに作用します。
中でも柑橘類に含まれるテルペン類と呼ばれるファイトケミカルは神経の興奮を鎮める作用があります。
また薬膳では酸味のある食べ物がおすすめです。
酸味には血液を浄化し解毒作用を助ける作用があります。
肝臓の負担を減らしてやることで肝気を静め、肝鬱気滞を解消するのに役立ちます。
酸味を含む食材には、
- レモン(10~3月)
- トマト(6~8月)
- イチゴ(4~6月)
- ミカン(12~2月)
- リンゴ(10~12月)
- 梅干し
- 酢の物
などがあります。
基本的には季節が旬で酸味のある果物を選び、果物が無い時期は梅干しや酢の物を食べるようにしましょう。
肝鬱気滞の状態が続くと血流も悪くなり肝血虚(かんけっきょ)の原因ともなります。
まとめ
肝は気(代謝)が高いために不足はしませんが過剰になりやすいのが特徴です。
気(代謝)が高くなりすぎると肝気鬱滞となります。
そして肝鬱気滞が長く続くと肝血虚を招くので、肝鬱気滞になったら早めの休息が大切です。