陰虚とは血流量が減少している状態です。
本来なら肝臓には津液(水分)がたっぷりとあります。
ですが体調不良の時には肝臓の津液(水分)が失われています。
津液(水分)の不足が肝陰虚を引き起こすので、今回は肝陰虚について解説します。
肝陰虚
肝臓は肝小葉とよばれる構造物が多数集まって構成されています。
肝細胞は肝容積の約80%を占め蛋白の合成や代謝、胆汁生成などを行っています。
またビタミンAを貯蔵し肝障害時にコラーゲンを産生し、さらにリンパの生成も行われています。
肝臓は体内で最大のリンパ生成源で、全リンパの15~20%(胸管リンパの25~50%)を生成します。
ですが肝臓への血流量が減ると生成されるリンパ量も減ってしまいます。
血液の全量のうち10%がリンパ液に漏れています。
肝硬変になると肝臓や腸管で産生されるリンパ液が増えて、吸収されないと腹水の原因となります。
本来なら腹水は横隔膜か腹膜から吸収されていきます。
肝陰虚とは
肝血虚が進み身体の津液(水分)が不足すると、相対的に熱がこもります。
すると肝血虚の症状に加えて熱感や顔の火照りなども見られます。
この状態は虚熱と呼ばれ、熱が多いのではなく熱を冷ます津液(水分)が不足した状態です。
肝陰虚は肝陽上亢とも呼ばれます。
気と血の虚は相互に起こり、血(栄養)が少なくなれば気(代謝)も低下します。
ですが津液(水分)の減少では気(代謝)は低下しないので相対的に気(代謝)が亢進して虚熱が見られます。
肝陰虚で現れる症状は、
- 眼の乾きやかすみ
- 手足の痙攣や痺れ
- 胸脇部の痛み
などです。
主に水分不足による不調が現れます。
肝血虚が寒の影響があるのに対して肝陰虚は熱の影響がある症状が現れます。
風邪を引いた際に始めは悪寒があって、次に高熱に苦しむ図式と同じです。
さらに肝血虚は脾(すい臓)との関係が大きいのに対して、肝陰虚は腎との関係が大きくなります。
肝陰(肝の水分)が少ない人は腎陰(腎の水分)も少ない傾向があり、実際には肝陰虚と同時に腎陰虚が現れることが多く肝腎陰虚と呼ばれます。
肝陰虚が起こりやすい時期
肝陰虚は肝血が消耗される春に現れやすくなります。
血(栄養)が消耗されるのに加えて、春は肝に熱が生じやすいために肝陰虚へと発展しやすいためです。
慢性的な疾患や精神的なストレスは津液(水分)を消耗します。
身体に熱がこもると不眠になり寝汗をかきやすくなります。
そのため食事で津液を補うと同時に熱を発散させることが大切です。
津液を補うには貝類や卵がおすすめです。
また熱を発散させる食材は夏が旬のものが多くトマトやゴーヤ、緑茶などが代表的です。
基本的には身体に水分を補給して熱を発散させることで肝臓は潤います。
身体を潤して不調を解消しよう!
肝陰虚は肝血虚が悪化した症状です。
肝血虚は消化器系が弱ることで起こりますが、さらに津液(水分)が不足することで肝陰虚へと発展します。
そのため肝陰虚の解消には津液(水分)を補うと同時に血(栄養)も補うことが大切です。